着物


※なるべくこの作品は、『現代1』を読んだ後に見て戴けると有難いです。



ある日 フッと望美はある事に気付いた。

「あ・・・ 向こうに戻るって事は、着物一人で着られる様にならないといけないよね」
「そう・・で御座いますね」
今までは白龍から宛がわれていた衣を身に纏っていた。
もう、戦乱の中を暮らしていく訳ではないのだ。
そして、着物を数回着たことはあったが、何時も朔に着せ替え人形よろしくが如く着せてもらっていた。
「朔に教えてもらうのも悪いだろうし、時間もそんなに取れないだろうし・・・」
「私が教えて差し上げますよ」にこりと嬉しそうに銀が微笑む。
その言葉に望美の頬はカッと赤らむ。

「む、無理無理! 絶対無理! 恥ずかしすぎて覚えられないよ!」
「そんなに硬くならずとも、私と神子様の仲ではないですか?」
「それとこれとは別問題でしょ! それに!普通男性に女性の着付けを教えてもらうなんてないでしょ!
  ・・・・・って、何で銀 着付け知ってるの・・・?!」
「・・・貴族ですから其の位は。」
  あ、何かはぐらかされた!
「着付け教室行くから良いもん!」

「さようで・・・」
「さようです!」
シュンとワンコの様にされても知りません!



数日後・・・。

「・・・・・・銀は気付いてたの?」
「何がで御座いましょう?」
「今の着物の着方と、平安の着方が違うって!」
「・・・そうで御座いましたか」
クッ・・・ 絶対分かって云ってたんだ! 
そう銀の微笑で、解釈した望美だった。

「それで、着付けはどうなさったのですか?」
「途中まで教えてもらって帰ってきちゃったよ」
「では・・・ 私がお教えしてもよろしいのですか?」
「う・・・っ  ちょ、ちょっと待って! 心の準備っていうモノがねっ!?」

しどろもどろになりながら、結局のところどうすれば良いのか悩む望美を
とても微笑ましくクスクスと笑いながら見つめる銀だった。



2013.9.25

後記

この後は、神子様方のご想像にお任せいたします♪